業界リサーチ:電力ガス

導入

以前の記事に引き続いて、電力ガス業界について調べたいと思いました。
業界リサーチ:クレジットカード

業界規模

32兆円(2023)
電力:25兆円
ガス:兆円

ビジネスモデル

電力

電力のビジネスモデルは、大きく分けて以下の3つがあります。

  1. 発電事業:火力発電、水力発電、原子力発電、太陽光発電、風力発電など、様々な方法で電力を発電する
  2. 送電事業:発電所で発電された電力を、高圧で送電網に送る
  3. 配電事業:送電網から電力を降圧し、家庭やオフィス、工場などに配電する

ガス

ガスのビジネスモデルは、大きく分けて以下の2つがあります。

  1. 都市ガス事業:天然ガスやLPGを原料として、都市ガスを製造・供給する
  2. LNG事業:液化天然ガス(LNG)を輸入・販売する

主要プレイヤー

様々な事業者がありますが、大手電力会社とは一般的に北海道電力・東北電力・東京電力・中部電力・北陸電力・関西電力・四国電力・中国電力・九州電力・沖縄電力の10社を指します。
これらの会社は、2016年の電力小売りの自由化以前に、エリアごとに独占的に電力を供給する会社でした。以前は、この10社が、一般に発電・配電・送電をしている会社(一般電気事業者)だったため、現在では「旧一般電気事業者」とも呼ばれています。


電力

電力10社:北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力

新電力:JERA、イーネックス、大阪ガス、東京ガス、中部電力ミライ、九州電力ミライ、エネオス、出光興産、楽天エナジーなど

ガス

  • 都市ガス事業者:東京ガス、大阪ガス、中部ガス、東邦ガス、西ガス、中国ガス、北ガス、札幌ガス、九州ガス、沖縄ガスなど
  • LNG事業者:JERA、INPEX、大阪ガス、東京ガス、中部電力ミライ、九州電力ミライ、エネオス、出光興産など

売上高基準(バフェットコード

順位銘柄コード会社名売上高営業利益当期純利益営業利益率純利益率ROE時価総額PER(会予)PBREV/EBITDA配当利回り(会予)自己資本比率
1位9501東京電力HD6,918,389278,856267,8504.0%3.9%7.2%745,613-0.2倍--25.7%
2位9503関西電力4,059,378728,935441,87018.0%10.9%17.7%1,538,4545.9倍0.6倍7.9倍3.5%27.2%
3位9502中部電力3,610,414343,339403,1409.5%11.2%14.7%1,242,2645.9倍0.5倍-3.7%38.9%
4位9506東北電力2,817,813322,263226,10211.4%8.0%24.5%576,6944.4倍0.6倍7.5倍2.6%17.4%
5位9531東京瓦斯2,664,518220,308169,9368.3%6.4%9.7%1,692,42020.9倍1.0倍8.5倍1.6%45.0%
6位9508九州電力2,139,447254,919166,44411.9%7.8%17.3%662,9916.6倍0.7倍10.4倍3.6%16.8%
7位9532大阪瓦斯2,083,050172,553132,6798.3%6.4%8.0%1,377,76612.3倍0.8倍8.6倍2.8%51.1%
8位9504中国電力1,628,785206,777133,50112.7%8.2%20.1%320,4865.9倍0.5倍15.3倍1.1%15.4%
9位9513電源開発1,257,998105,70477,7748.4%6.2%5.9%461,1237.2倍0.4倍9.1倍4.0%35.6%
10位9509北海道電力953,784101,15566,20110.6%6.9%18.0%167,0583.9倍0.5倍10.4倍2.5%17.2%
11位9505北陸電力808,238114,91156,81114.2%7.0%16.3%176,8143.9倍0.5倍8.3倍2.1%19.3%
12位9507四国電力787,40378,52660,51510.0%7.7%14.9%252,9854.6倍0.6倍7.4倍3.3%24.6%
13位9533東邦瓦斯632,98533,59727,3045.3%4.3%6.0%424,07518.4倍0.9倍8.5倍1.9%61.8%
14位9536西部ガスHD256,3289,6726,1553.8%2.4%6.4%63,40712.7倍0.7倍9.5倍4.1%23.1%
15位9517イーレックス244,977-19,851-22,257---54,88929.1倍0.9倍8.0倍-39.5%
16位9511沖縄電力236,3943,4812,3911.5%1.0%2.0%51,43210.3倍0.4倍9.9倍2.1%23.7%
17位9543静岡ガス214,00418,34014,1078.6%6.6%12.2%78,57011.5倍0.7倍3.1倍3.8%70.6%
18位9534北海道瓦斯173,88515,59511,6279.0%6.7%14.6%50,66825.9倍0.6倍4.0倍-44.9%
19位9551メタウォーター165,5619,9036,8756.0%4.2%9.5%79,02913.0倍1.1倍5.2倍2.7%48.7%
20位9539京葉瓦斯122,8531,7041,4601.4%1.2%1.6%27,91021.5倍0.3倍2.8倍2.3%58.4%

直近の売上動静

電力・ガス会社は、前年比で増収増益を達成しています。
この成果には以下の2つの要因が影響しています。
  1. 資材価格の安定化:ウクライナ危機による資源調達リスクの低下が資材価格の安定化に寄与しました。
  2. 2023年における各社の電気料金値上げ:これらの値上げが企業の利益に直接反映され、増収増益に寄与しました。
これらの要因が企業の業績向上に寄与し、増収増益の要因となりました。

発展の歴史

以下の歴史があります。
主な出来事詳細
1886年東京電燈設立日本初の電力会社。後の東京電力の前身
1932年供給地域独占制度開始過度な競争による業界混乱の収束を図る
1938年日本発送電株式会社設立戦時体制下での国家管理体制確立
1951年9電力体制確立地域別9社による発送配電の一貫体制開始
1972年沖縄電力設立10電力体制の完成
1995年発電部門自由化電力自由化の第一段階
2000年特別高圧小売自由化大規模工場・デパート等の自由化
2004-2005年高圧小売自由化中小規模工場・ビル等の自由化
2016年低圧小売自由化家庭・商店等を含む全面自由化完了

業界トレンド

電力

脱炭素化:再生可能エネルギーの導入が進み、2050年までにカーボンニュートラルを目指す動きが強化されています。

  1. 分散型電源の普及:家庭や企業での太陽光発電や蓄電池の導入が進展しています。
  2. 小売全面自由化:顧客が自由に電力会社を選べる環境が整備されています。

ガス

  1. 脱炭素燃料への移行:水素やバイオガスなど新しいエネルギー源へのシフトが進んでいます。
  2. LNG利用拡大:国際的な価格競争力向上により、LNG利用が増加しています。
  3. ガス小売自由化:顧客選択肢が増え、市場競争が激化しています。

現在の課題

電力

  1. エネルギー価格高騰:国際情勢による影響でエネルギー価格が上昇しています。
  2. 再生可能エネルギーの導入コスト:コスト削減が依然として課題です。
  3. 系統安定性の確保:分散型発電の増加に伴う系統管理の難しさがあります。

ガス

  1. 人材不足:配送や点検作業における人手不足が深刻化しています。
  2. 競争激化:自由化による競争環境で価格競争が厳しくなっています。

自由化の流れ



JERAという存在

2015年4月、燃料・火力融合によるシナジー効果、資産・調達規模の拡大、市場プレゼンスの拡大による「グローバル・エネルギー事業者」を目指し、東京電力・中部電力の共同出資で「JERA」が設立されました。
国内火力発電の半分を占める発電能力と、世界最大級の燃料取扱量を誇るエネルギー会社です。


発電電力構成比

電力構成比が今後の企業収益力の論点となってきます。
それぞれの電力には作るKwhごとの単価が異なるため、単価の安い電力にシフトすることは高収益につながります。一方で原子力は事故リスクなどを含みます。

発電コスト試算の一覧


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個別電力

太陽光



洋上


火力



原子力





2040年までの電力需要見通し

同研究所では、2040年代以降の日本経済について、国内需要の減少からマイナス成長局面に入る一方で、世界経済の拡大に伴って輸出が拡大すると予測。素材系産業の生産量は減少するが、半導体を含む電子部品や自動車などの機械系産業が外貨を稼ぐ役割を果たすと見通した。

これらの背景から、2050年度までにエネルギー消費は、産業部門では年率0.3%低下、業務部門では同1.0%低下、家庭部門では同1.0%低下すると予想。一方、電化需要は産業部門が30%台、業務部門と家庭部門が60%台、運輸部門(鉄道・船舶・航空除く)が20%台にまで上昇するとの見通しを立てた。


電源構成 





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