Apptio(2):具体的なTechnical Overview(High level)

導入

アーキテクチャプリントレベルから概観しておきたい場合の備忘録

Apptioは何がうれしいのか?

ITファイナンスで非常に市場ニーズが高い

ITファイナンスとは?

ITのファイナンス
一般的な企業ファイナンスとは以下のことを実務として毎年行う。

・予算策定
・予算実績差異の解消
・経費入力
・経費分析(使いすぎの把握、使途不明の減少)
・部門への配賦

これらの業務をITに特化したものとしてITファイナンスが存在する。

なぜITファイナンスなのか?

企業活動におけるIT投資の比率は非常に高くなってきている。一方でIT投資に関する費用対効果の計測は難しい。そもそもどれにどれくらい配賦されているか、を適切に部門コストの把握もできていない。
現場のニーズとして2000年代前半のITバブルの潮流の中で出てきた非常に大きな悩み。それを解消するために生まれた概念であり、ソリューションが存在し、Apptioはその中の一つである。

日本の導入企業(一部)

Apptioを本格導入していると見込まれる企業をリスト
  • 富士通
  • 資生堂
  • オリックス
  • みずほ銀行
  • 第一三共
  • 楽天
  • イオン
  • アフラック
  • 中部電力
  • エーザイ
  • 横川電機
  • Wovn by Toyota

モデル図

以下のようなデータモデルでApptioは想定する
1.外部データ取り込み
2.データの構造化
3.分析、最適化、計画策定
4.レポーティング



Apptioの立ち位置

TBMという考えに立脚したアプリ
ERP、HCM、CRMのような存在




Apptioを実務で行う際のよく出る用語


用語説明重要度
TBM ModelITコストを管理・最適化するための包括的なビジネスモデル
Cost Allocationコストを適切なビジネスユニットやサービスに配分するプロセス
IT TowersITサービスを機能的に分類した単位(例:データセンター、ネットワーク、アプリケーションなど)
Business View/IT View/Financial View同じデータを異なる視点(ビジネス、IT、財務)から見る方法
TBM TaxonomyITコストを標準化された方法で分類・整理するためのフレームワーク
Cost Pool同じ性質を持つコストをグループ化したもの(例:人件費、ハードウェア費用など)
Showback/ChargebackShowback: IT costs の可視化のみを行う方式
Chargeback: IT costs を実際に部門に請求する方式
TBM CouncilITコスト管理のベストプラクティスを推進する非営利団体
Cost Driverコストの発生要因となる要素(例:ユーザー数、ストレージ容量など)
Business Unit企業内の独立した事業単位や部門
Bill of ITIT部門がビジネスユニットに提供するサービスの明細書
Application TCOアプリケーションの総保有コスト
Budget Planning予算計画策定プロセス
Reports & Analyticsコストや使用状況の分析レポート
Variance Analysis予算と実績の差異分析
CIO (Chief Information Officer)最高情報責任者。IT戦略と運営の責任者
CFO (Chief Financial Officer)最高財務責任者。財務戦略と管理の責任者
TUM (Technology Unit Manager)テクノロジーユニットの管理者。IT部門の運営責任者
TransparencyITコストの可視性と透明性を確保すること
Product / ServicesIT部門が提供する製品やサービス
Business Capability企業が持つビジネス上の能力や機能
GL Account総勧定元帳の勘定科目。財務データの基本的な分類単位
Resource Pool人材、ハードウェア、ソフトウェアなどのリソースグループ
Service Catalog提供可能なITサービスの一覧
Cost Centerコストの発生源となる組織単位
Consumptionリソースやサービスの使用量
Data Integration外部システムからのデータ取り込み

ファイナンス実務を行う際に理解する用語


英語日本語訳説明
Balance Sheet貸借対照表企業の資産、負債、純資産の状況を示す財務諸表。特定時点での財政状態を表す
Income Statement損益計算書一定期間の収益、費用、利益を示す財務諸表。企業の経営成績を表す
Matching Principle対応原則収益とそれに関連する費用を同じ会計期間で認識する会計原則
Assets資産企業が保有する経済的価値のあるもの全般(現金、設備、債権など)
CapEx (Capital Expenditure)資本的支出将来の利益を生み出すための長期的な投資支出(設備投資など)
OpEx (Operating Expenditure)運営費用日常的な事業運営に必要な支出(人件費、消耗品費など)
Current Assets流動資産1年以内に現金化できる資産(現金、売掛金、在庫など)
Fixed Assets固定資産長期的に使用する資産(建物、機械設備、土地など)
Capitalication資産計上支出を費用として計上せず、資産として計上すること
Depreciation減価償却固定資産の価値減少を費用として計上すること(有形固定資産が対象)
Amortization償却無形固定資産の価値減少を費用として計上すること(特許権、ソフトウェアなどが対象)
Net Book Value帳簿価額資産の取得価額から減価償却累計額を差し引いた現在の価値


追加
TCO (Total Cost of Ownership)総保有コスト取得から廃棄までにかかる費用の総額(初期投資+運用費用+保守費用+廃棄費用)
GAAP (Generally Accepted Accounting Principles)一般会計原則米国で定められた標準的な会計基準
IFRS (International Financial Reporting Standards)国際財務報告基準国際的に採用されている会計基準
Management Account管理会計経営管理のための内部向け会計(意思決定や業績評価に使用)
Financial Account財務会計外部利害関係者向けの法定会計(株主・投資家への報告に使用)




ITファイナンスの実例:サーバの購入

ITファイナンスの実例を購入、廃棄決定、売却の3つのシチュエーションに分けて、償却まで含めて説明します。

  1. 購入:

    • 会社が新しいサーバーを購入すると決定しました。サーバーの価格は10,000ドルです。このサーバーの耐用年数は10年です。
    • サーバーを購入した瞬間、会社の資産として認識されます。これを資本支出として処理し、10,000ドルが会社のバランスシートに固定資産として記録されます。
    • このサーバーは毎年1,000ドル(10,000ドル ÷ 10年)の償却費用を計上する必要があります。これにより、サーバーの価値は毎年1,000ドルずつ減少します。
  2. 廃棄決定:

    • 5年後、会社はサーバーの老朽化が進んでおり、修理や更新が困難と判断しました。
    • サーバーの価値は残り5,000ドル(10,000ドルの半分)であり、この時点でサーバーを廃棄することを決定しました。
    • サーバーの価値は会社の損益計算書から除去され、会社のバランスシートからも固定資産としての記録が削除されます。
  3. 売却:

    • 8年目に、会社はサーバーを他の企業に売却することを決定しました。売却価格は2,000ドルです。
    • この売却により、会社は2,000ドルの現金を受け取ります。同時に、サーバーの残存価値が3,000ドル(10,000ドル - 7,000ドルの償却費用)として計上されます。
    • この売却に伴い、サーバーの価値に関するすべての会計処理が完了し、サーバーは会社の資産から除かれます。

例)ApptioとServiceNowを連携する際に必要な作業

ServiceNowからApptioへのデータ連携方法について


連携方法の一覧:

1. API連携

- ServiceNow REST API を使用
- Apptio Datalink API を利用
- リアルタイムでのデータ更新が可能

2. ファイル連携

- CSVファイルエクスポート/インポート
- SFTP経由でのファイル転送
- バッチ処理での定期的な更新

3. データベース直接連携

- データベースリンクを使用
- ETLツールを介した連携
- 大量データの効率的な転送


情報の連携に関して、最も一般的で推奨されるステップ

1. CSVファイル連携による方法(最も一般的なアプローチ):


Step 1: データ抽出設定
- ServiceNowで請求情報のレポート作成
- 必要なフィールドの選択(取引ID、日付、金額、部門など)
- CSV形式でのエクスポート設定

Step 2: データ変換処理
- フィールドマッピングの定義
- Apptioの要求フォーマットへの変換
- データクレンジング(必要な場合)

Step 3: ファイル転送設定
- SFTP接続の確立
- 自動転送スケジュールの設定
- エラー通知の設定

Step 4: Apptioでのインポート設定
- データソースの定義
- インポートルールの設定
- 検証ルールの設定

Step 5: 検証プロセス
- テストデータでの動作確認
- エラーハンドリングの確認
- 本番環境での実行

このアプローチの利点:
- 設定が比較的容易
- データの検証が容易
- 既存のインフラを活用可能
- コスト効率が良い

考慮すべき点:
- データ更新の頻度設定
- エラー時の再処理方法
- データの整合性チェック
- セキュリティ要件への対応

Dataの集め方

Apptioの全体の流れを理解したとして、やることは「Data集め」になるわけですが、
具体的には以下の手順を使うとよいかなと

1.Data Fieldの決定
・Required
・Recommended
・Optional

2.データの供給方法決定

3.データ収集時の考慮事案

そもそもなぜApptio x ServiceNowの連携をするの?

Apptio側の想い

Apptioはまずデータがあって、それをただしく仕訳してレポートするもの。
なので、なにかとの連携を前提とするサービスである。
連係情報として有力候補はいくつもあるが、その中の主要なものがSAP AribaだったりServiceNowだったりする。

ServiceNow側の想い

ServiceNowの旧ITFM機能がSPMファミリーに残っているものの、Utahからサポート対象外になっている様子。

ServiceNow® Financial Management アプリケーションを使用して、組織内で経費を割り当て、追跡、およびレポートします。

重要:

2021 年 3 月以降、Financial Modeling は有効化できなくなりました。

  • 新規顧客:現在 Financial Modeling のエンタイトルメントがなく、その使用に興味がある場合は、パートナーストアアプリに連絡してください。ServiceNow 実装パートナーがパートナーストアアプリの詳細をお手伝いします。
  • 既存の顧客:
    • 現在 Financial Modeling のエンタイトルメントがあるが実装していない場合は、パートナーストアアプリに連絡してください。ServiceNow 実装パートナーがパートナーストアアプリの詳細をお手伝いします。
    • Financial Modeling の資格付与を既に実装している場合は、引き続き使用できます。ServiceNow サポートチームは、実装された方法で引き続きアプリケーションをサポートします。

      将来、アプリケーションの拡張はパフォーマンスに対してのみ行われ、機能に対しては行われません。

とのこと。
理由は、ServiceNowのサポートする機能が顧客のニーズを満たしきれていない気がします
減価償却とかTBMに基づいたタグ付けとか、そういうオペレーションはできない感じがする。年度予算作って、経費のレコードとかもらったら簡易にレポートだしたり、NPVとかIRRはでるけど、他の細かいメトリクスは出せない。

「もちはもちや」じゃないけど、せっかくApptioという専門的なソリューションがあるのだから、そことつなぎこむことに注力したほうがいいと舵をきったのかな、と思いを推測

あるいは以下のような共存関係



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