ITIL学習講義まとめノート①-概要

ITILコースの概要
ITILはITサービスマネジメントのベストプラクティス集として、広く知られています。現在では多くの組織でITILのプロセスに基づき、サービスの提供が行われていますが、プロセスを導入することが目的化し、成果が十分に出ていないケースも少なくありません。本コースでは経営や事業課題の解決のツールとの観点からITILを整理し、真に意味のあるITILの活用について学習します。

到達目標

  1. ITILとはどのようなツールかを理解する。
  2. 組織におけるITIL適用の意義、メリットを理解する。
ITサービスマネジメントとは
組織のニーズを満たし、良質なITサービスを安定して提供できるように管理すること。
近年は、安定した運用だけでなく、ビジネス課題に基づいた付加価値を提供する手段として
ITサービスマネジメントの重要性が注目されている。
ITサービスマネジメントを取り巻くステークホルダー

  • ユーザ: 日常的にサービスを利用する人
  • 顧客: 支払い権限がある人・グループ
  • ITサービスプロバイダ: 顧客にITサービスを供給する組織
  • サプライヤ: ITサービスプロバイダを支援する組織

ITILとは
ITサービスマネジメントに関するベストプラクティスを取りまとめた書籍群のこと。
記載されている内容を、自組織に適したマネジメントシステムにカスタマイズする必要がある。
戦略・設計・移行・運用・継続的改善の5つのステージでサービスのライフサイクルを定義している。
理解しておきたい概念等

  • SLA(Service Level Agreement) サービスの利用者と提供者の間で、サービスレベル(「提供するサービスの内容」と「守る品質水準」)について合意した内容を記述した文書のこと。
  • サービスの価値 「達成された事業成果」「顧客の好み」「提供されたものに対する顧客の認識」という 3つの領域で定義される。SLAを満たしたからといって価値にはならない。
  • 4つのP プロセス・人材・製品・パートナのこと。4つのPを効果的・効率的に整備することが鍵となる。
  • プロセス・KPI・CSF プロセスとは目標を達成するための体系的な一連の活動。そのプロセスの成功に必須な要因がCSF(重要成功要因)であり、CSFの達成状況を測定する指標がKPI(重要業績評価指標)である。
  • プロセス成熟度フレームワーク このフレームワークで現状を評価し、あるべき姿に近づくため・課題に対処するために、改善施策を検討し、改善施策実行後の評価する際に再度このフレームワークを活用する。
  • デミングサイクル 適切な目標値を設定し、PDCAをまわしてプロセスを継続的に改善していく。PDCAをまわしていくたびに到達したレベルを強化することがポイントである。
  • CSIモデル 提供するITサービスを変化するビジネスニーズに整合させるための考え方。 以下の改善サイクルを回し続ける。 ビジョンはなにか? → どこにいるのか? → どこを目指すのか? → どのようにして目標を達成するのか? → 達成したのか? → どのようにして推進力を維持するのか?


ITILを適用する際のポイント

  1. ビジネス視点でITILを適用する目的を明確にすべし
  2. 運用現場の活動目標がビジネス戦略から落とし込まれるため、効率的なITサービスの改善・価値向上にむけた活動が期待できる。
  3. 小さく始め、適用成果を早期に体感し、徐々に適用範囲を広げていくべし
  4. 「SmallStart, QuickWin」問題点が顕著で即効性の高いところから適用し、関係者が効果をすぐ 体感できる目標を設定する。モチベーションを維持しながら確実に適用推進していくことができる。
  5. ITILを参考に自組織に合ったITサービスマネジメントを確立し、 成熟度を向上させていくべし
  6. 自組織の課題・状況に合わせ、ITILを参考にしながらプロセスを設計(ITILでどの程度課題解決できるのか、そのためにはどのようなプロセスを実施すればいいのか、など)する。 適用後は改善を繰り返すことでビジネスとITサービスの成熟度を向上させていく。
  7. 運用開始前に改善・成長する仕組みを設定し、改善活動定着まで監視すべし
  8. 適切なSLA締結やKPIを設定した上でPDCAをまわし、測定して改善のインプットとして活用する。 活動を現場に定着させるために、組織として改善活動への強い意識付けを行い、活動が改善に つながっていることを運用現場で認識し、次のモチベーションにつなげていく。
  9. 特にPeopleにおいて目的意識の啓もう・育成に注目すべし
  10. ITIL適用にあたっての不安や不信感が推進力を阻むため、文化の醸成と人材育成に注力する。 経営層から運用現場まで深く関わりながら、組織にITILを適用することの意義・目的について 啓もうし、ITILの正しい意識を持つために教育することが重要である。


  • 運用現場 運用管理からサービスマネジメントへ役割を意識改革する。
  • 経営層 ITILを適用する運用現場の活動を理解して、組織全体として支援する。


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